第325号 編集後記

夏の花火。夜空を見上げて気分も高揚するが、一抹の喪失感も味わう。一瞬にして幻と化す儚さを、人の命の終焉に重ねる瞬間だ。

72年前の8月1日、B29大型爆撃機が新潟県長岡市を来襲。1時間40分間の爆撃で1485名の犠牲者が出た。

13年前、2004年には新潟中越地震が起こった。戦争と自然の脅威に襲われた同地では市民の協賛金や寄付などで、毎年8月に「長岡の花火大会」が開催される。人災による犠牲者追悼・天災被害者への哀悼の深い想いが込められた「祈りの花火」なのだ。壮大なスケールの復興祈願花火「フェニックス」が今年も長岡の天空に打ち上がる。何度被害に遭っても不死鳥のように蘇ると…。

(安)