第338号 編集後記

著作本、行動すべてが魅力的でこの方の病院を訪ねたいと思っていた。デスク原稿締め切り間際、パソコンにその方の講演会案内メールがきた。千載一遇とばかり、迫る仕事を振り切り、取材を名目に大阪市内の講演会場に駆け込んだ。長野県の諏訪中央病院・鎌田實名誉院長。彼はメディア露出の多い有名人でもあり、まして単独インタビューでもない。軽い気持ちで会場取材を始めたが、そのお人柄の高潔さに身を乗り出して聞き入った。長野での地域医療、チェルノブイリの子ども達や福島原発事故被災者への医療支援、イラクの難民キャンプ診察…。何もかもが実働、実践で、行動や言葉に嘘がない。同時代に生を分かつことの喜びを頂いて、わが身を猛省した。  

(安)