元日とお盆は、家族・親族が顔を合わせるまたとない機会だ。だが、今や簡単に人との逢瀬が叶わない。マスク越しの対面が当たり前になってしまった。
昨年から全世界が逼塞・沈黙している。このパンデミックは、後世にどう語り継がれるのだろう。人類史上、まれにみる出来事の渦中で通用しなくなった「あたりまえ」を懐かしんでいる。
反対語は「ありがとう」という。そう、有難(ありがた)しなのだ。あることがむずかしい。
毎朝、太陽が昇り、目覚め、生きているのがあたりまえと思っていないか…?遠い日々、中学生の頃の感覚を想う。
「死」を恐れ、眠れずに飛び起きた緊張感は、いつしか弛緩していた。
(安)