第363号 編集後記

黄金色に輝く稲穂。豊穣美に生産者の働きを想う。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。「実」は知識や徳。「穂(米)」は人の意で、学問や徳が深まるにつれて人間は謙虚になり、小人物ほど尊大に振る舞う。頭を垂れるには、相手を敬う意も含まれている。「立派な人間ほど相手を敬うことができ、謙虚である」ということだ。
つい、TVドラマの「半沢直樹」を思い起こした。虚勢を張りつつ膝を崩す土下座のクライマックスシーン。某大学では「教育・研究・社会貢献」を忘れずに、謙虚な姿勢を保ち続けた人間になるようにと諭す。頭を垂れるのと土下座は真逆。だが、社会風刺をこめた歌舞伎調の演出に頭が下がる
(安)