第329号 編集後記

一家団欒。年末から新年に向かうこの時期になると、この四字熟語が復活する。いや、想像力の欠如した幸せ家族のイメージなのかもしれない。一家団欒は死語になりつつあるのではと感じる。時代の変遷とともに、家庭像は変わり、家族単位がどんどんミニマムになっている。2世代同居どころか3世代が同じ屋根の下で語らう姿など希少価値といえよう。家族の結束にこだわるわけでないし、逆に血族になったという理由だけで暮らすことの苦痛もある。個性の違う人間同士が素のままの自分を出せる場所が家庭なのだから、工夫も努力もいる。お互いの我を張っても許される土壌であるならば、普遍の家庭像に惑わされることはない。

(安)