日本語文化は、奥が深い。自分を表現するだけでも「わたし ・わたくし・拙者 ・ 小生 ・ 自分 ・ 朕 ・ それがし ・ わっち ・ おいどん ・ 俺・おれっち・ おいら ・ 手前 ・ 我輩 ・ 余 ・ ボク ・ 身ども ・ ウチ ・ わちき ・ わだす ・ 当方 ・ 麿 ・ 我 ・ わらわ ・ わし ・ おら ・ あっし ・ こちとら・うち・あたい…」と、数え上げたら、枚挙にいとまない。
世間を騒がせているセクハラも、この言葉の複雑さと無関係ではないのではないか。英語ならば『NO=嫌だ』が、日本語表現なら『やめてください』になる。女性が使う語感の微妙なニュアンスは、柔らかい否定になり、相手に誤解を与える。日本語の美しい言い回しが、時として女性の自立を遮る壁になる。
(安)