第349号 編集後記

知人、兄たち、疎遠になった旧知の人たち…
めったに顔を合わせる機会がないと、人との距離が遠ざかるかというと、逆に近く感じる。
不思議なことに、顔貌はおぼろなまま、半覚醒状態での記憶が呼び覚まされ、なぜかいつまでも心を騒がせる。
それに比べ、現実社会での人との交歓は、幻のようにすぐ消える。独りではやってられないとつぶやいてみる。
いつになったら無心になれるのか。日常での些末な出来事に一喜一憂して、足元をすくわれているうちに、いつやら一年。誕生の月を迎えてしまった。
幸いなことは太陽の真夏にこの世に生を受けたこと。親に感謝しつつ、ここまでの自分を振り返っている。
(安)