儀礼的に使っている夏の「お見舞い」のあいさつ。今夏ほど身に染みたことはない。連日の気温上昇で、とうとう「災害級」というありがたくないレッテルまで張られた。数年前の夏。室内にいて、熱中症になることを、亡母から学んだ。母は、滅多にエアコンを使わなかった。クーラーで身体を冷やすのに抵抗があったのか、何事にも始末な性格が災いしたのかは、定かではない。高齢の母の一人暮らしに、もっと気を使うべきだった。母は元気者だと過信していた。猛暑に自分の身を持て余しながら、親不孝をいまだに悔いる。自然はいつでも牙をむく。だからこそ、無力な人と人、相互の命を尊重して、混迷の時を生き抜きたい。
(安)