18年前、幼児教育事業経営者の男性から沈痛な声で電話がかかってきた。池田小事件が発生しての憤りであり、心痛であった。
彼は弊紙の広告主で、折々に持論を拝聴していた。早期教育塾を主宰しているだけあって、現場感覚での子育て論の舌鋒は鋭い。
とくに幼児脳の発達に造詣が深く、親子関係や地域社会が及ぼす大人の関わりについて、互いによく議論したものだ。
長い電話の後、「弊紙を通して、何か発信できないか?」とポツリ。即、快諾しての長期連載は、問題意識を潜在化したまま終わった。
そして、今、また…。社会で孤立した犯罪者の胸中は知る由もないが、突然の逆縁に見舞われた親の悲嘆は想像しても余りある。
(安)